ARについて

詳しい記事
http://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1210/11/news002.html
引用

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以下に提供側が考えるであろうARの代表的な使用目的を書き出してみた。

a. 店舗の売り上げを伸ばしたい
b. カタログからの売り上げを伸ばしたい。(同時に)返品率を下げたい
c. 雑誌やチラシなどの紙媒体からWebへの誘導を増やしたい
d. ショッピングセンターやイベント会場への集客率を高めたい
e. ある地域を巡回してもらい、いろいろな場所(施設、建物など)を詳しく知ってほしい
f. ファンとして楽しんでもらいたい
g. 実際には試すことができない配置を試したい
h. 目に見えない情報を可視化し、より分かりやすく相手に伝えたい
i. 間違いやすい作業/工程を誰にでも正確に分かるようにしたい

2. 利用者(顧客)の期待

 お客さまはARの“何に”期待をするのだろうか? 実際はARという技術そのものに期待を寄せているわけではないことに気づくべきだろう。例えば、スマートフォンの普及を目的に、あれこれと新しい技術を投入するのは提供側のエゴだったり、政治的な圧力だったりすることがある。提供側は、常にそれが利用者のためになるのかどうかということを問い続ける必要がある。

 先に説明した目的について、利用者視点でみるとどうなるだろうか。私なりに考えてみたのでご一読いただきたい。

a. 店舗の売り上げを伸ばしたい:「せっかく店舗に来たのだから、手で触って納得するまで商品を選んでから購入したい。そして、できるだけ一番安い価格で購入したい。店舗にいながら、他商品との性能比較、他店舗の価格と比較して納得してから購入できるといいな」
b. カタログからの売り上げを伸ばしたい。(同時に)返品率を下げたい:「カタログにはたくさんの商品が掲載されているけど、お気に入りの商品を探すことに時間がかかる。印刷されている商品の情報は紙面のスペースだけでは分からないからネットで最新の情報や評判なども見てみたい」
c. 雑誌やチラシなどの紙媒体からWebへの誘導を増やしたい:「買ってきたファッション雑誌には、いろいろなブランドの商品が掲載されているが、それぞれの商品がどんなブランドで、どの店舗でいくらで販売されているのかが分からない。雑誌と自分のスマートフォンが連動して、雑誌に掲載されている商品の詳しい情報を自分のスマホですぐに見ることができて、しかもネットですぐに購入できたり、一番近くの販売店へナビゲーションしてくれるといいな」
d. ショッピングセンターやイベント会場への集客率を高めたい:「見るだけのありきたりのイベントは飽きてしまったな。家族やカップル、友人と楽しめるスタンプラリーや宝探しのような参加型のユニークなイベントがあったら行ってみたい」
e. ある地域を巡回してもらい、いろいろな場所(施設、建物など)を詳しく知ってほしい:「観光地へ行くけど、どこをどのように巡回すると楽しめるだろう。地図や位置情報と連動するようなコンテンツがあると、より楽しく観光ができそうだ」
f. ファンとして楽しんでもらいたい:「自分が大好きなキャラクターが等身大で現れて一緒に写真が撮れたりしたらきっと楽しいだろうな」
g. 実際には試すことができない配置を試したい:「洋服なら、形や色を合わせて見られるといいな。家具やインテリアなら、部屋に置いた時のイメージを見て、自分の部屋に合うか確認できると安心してネットで購入できるな」
h. 目に見えない情報を可視化し、より分かりやすく相手に伝えたい:「放射能の測定値や騒音、温度など言葉だけでは伝えづらいことをリアルタイムに可視化して見せることができたら、よりいっそう伝えやすくなるだろうな」
i. 間違いやすい作業/工程を誰にでも正確に分かるようにしたい:「滅多に行わない機械の操作や間違えやすい手順は、段階を追ってナビゲートし、操作方法を教えてくれるとその作業が安心して行える」
3. AR利用を成功させるための5つのポイント

a. 利用場面について:そのARが利用される場面を思い浮かべてみよう。人通りが多いためARを使用したイベントを実施したら問題が起きるかもしれない。店舗内、電車のホーム、電車の中、その周辺でスマートフォンのカメラを空中にかざして問題が起きない場所かどうか、シチュエーションを確認しておくことが重要だ。また、画像やARマーカーのような「カメラで撮影して実行するタイプ」であれば、ARとして画像の認識ができる明るさ(暗さ)であることが必要だ。位置情報を使用したARアプリであれば、位置情報が取得できる場所であるかを事前に確認することが重要となる。
b. 簡単であること:インストールから設定、実行方法まで全てが簡単であることが重要。また、ターゲットの年齢層にあったアプリである必要がある。
c. 継続性があること:一度だけ行われるARキャンペーンは、その存在自体に気付かない人の方が多いだろう。継続性があれば、習慣化してより多く利用される結果となるだろう。
d. 告知が行われていること:失敗する最も大きな要因として、告知が全く行われていないことが挙げられる。ARに限ったことではないが、何かを始める場合は適切な量の告知をするべきだ。
e. サービスを借りるか、新規に開発するか:短納期であれば、迷いなく汎用アプリなどのサービス利用をお勧めする。時間や予算に余裕がある場合は、ブランドイメージの向上や独自性の確立を目指して、新規開発に踏み切るのも1つの手だ。
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【連載】ARをマーケティングに応用する:第2回 拡張現実を実現する技術――プラットフォーム編

前編「拡張現実を実現する技術――ハード/ソフト編」に引き続き、後編ではAR関連のプラットフォームを解説する。

[亀山悦治,ナレッジワークス]

ARのテクノロジーとプラットフォーム

下記の図は、私が2012年9月中旬頃に調査した際のAR関連のプラットフォーム、技術を独断でまとめたものである。すでに統合されたサービスや、10月に新しくサービスを開始するプラットフォームもあるだろう。従って、この図は常に変化する。今から約3年前はプラットフォームの数はこの半分にも満たなかったのだから凄い勢いで新しいサービスが生まれていることがよく分かる。

ar02_02b

私自身は、ここに記載されているほとんどのサービスや技術については、その概要を把握しており、常にその変化に注目している。技術の変化が非常に激しい時期であるため、今、何が良いのか、これから始めるにはどのプラットフォームが良いのか、または開発した方が良いのかをお伝えすることができる。ARのプラットフォームや技術の選定ポインはこの記事の中で多少ご説明するが、選定に困った場合や、どうして良いか分からない場合は、ぜひお問い合わせいただきたい。

ARについてご説明すると、よく聞かれることが2点ある。1点目は「ARのプラットフォームがたくさんありすぎて使う側がどのアプリケーションで、何をしたら良いのか分からないのではないか。統一することはできないのか?」そして、2点目が「そのARアプリケーションを使ってもらうためには、インストールしてもらわないとならない。どうやってインストールしてもらえるよう促すのか?」という内容である。

 1点目については、キャリアの独自企画と差別化について考えるとまず不可能だと感じる。スマートフォンで使用されるQRcodeリーダーを見ても分かるだろう。基本的に規格が統一されているアプリケーションでさえ、大量にアプリケーションが公開されているのだ。だれも統一はできなかったし、携帯電話と違い最初からインストールされていない機種がほとんどではないだろうか。ARの場合は、位置情報の規格は統一されるかもしれない(しかし、ある団体と複数の日本の企業が試みたが、結果的に実現できなかったことは記憶に新しい)。

2点目だが、みんなで使うARプラットフォームにこだわるから問題だと考えてしまうのではないだろうか。今や、位置情報ARアプリはどう取り扱われているかご存知だろうか。シティマップアプリや、旅行ガイドアプリという便利なアプリケーションの機能として当たり前に組み込まれてる。すでに大量にダウンロードされているアプリケーションに新しい機能として組み込み込んでしまえば良いのだ。全てのARアプリではないが、組み込みタイプに対応できるものも存在する。

【プラットフォーム型の利用と、新規開発型のどちらを選定するべきか?】

この判定は容易である。まず、「どのようなARを提供したいのか」「予算はどの程度あるか」「何回使用するか」「どの位の期間使用するか」「リリースまでの期間はどの程度か」によってほぼ決まってくるであろう。また、開発ライセンス、利用ライセンス、サーバ費用などが必要な場合もあるため、ベンダーにはよく確認しておくことをお勧めする。

スマートフォンの場合のARが中心になるが、私の経験に基づいてお伝えしたいと思う。

1)予算はどの程度あるか

10万~100万円であれば、迷うことなくプラットフォームの利用をお勧めする。プラットフォーム型では、「要件定義/打ち合わせ/調査」「初期設定」「デジタルデータの制作(すでに保持していれば必要なし)」「ARの設定作業」「簡単なテスト/調整」「月額利用料」が発生する。開発の場合は、設計、開発、テストで2カ月以上の期間がかかることが普通である。

2)何回使用するか

単発のキャンペーンなどで、使用が1~2回であれば、プラットフォーム利用をお勧めするが、それが特別なキャラクターを使用したものや映画の特別なプロモーションであれば、新規開発型でも良いだろう。継続して使用するアプリであれば、必ずランニングコストの確認を行なう必要がある。

3)どの位の期間使用するか

6カ月を超えない程度であれば、プラットフォーム型でも良いだろう。長い期間の利用では月額費用や年間ライセンスがかなりかかる場合もある。1年以上の利用や、ほぼ永続的な利用であれば、利用ライセンスが無料か、ライセンス買取方式に対応しているAR技術を選定した上で、新規開発を行った方が良いだろう。

4)リリースまでの期間はどの程度か

スマートフォンの場合、通常はAppleとAndroidの両方に対応させる。Androidのみという前提や、企業内での営業ツールとして使用するのならばストアの審査がないため、多少の余裕ができるが、2カ月後のリリースという状態であると、開発が1カ月で行えたとしてもかなりリスクがある。もし、Apple、Androidの開発者IDを取得していない場合は、さらに2週間程度の余裕が必要となるため、間に合うかどうかは工程とスケジュールを予め把握する必要があるだろう。

【スマートフォン向けプラットフォームと開発用SDKの紹介(2012-9-30調べ)】

1)Aurasma(オーラズマ)/Aurasma Lite(オーラズマ・ライト)

aurasma
  • 公式サイト:http://www.aurasma.com/
  • 国:イギリス
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:あり
  • ARタイプ:画像認識型
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2011年6月
  • 特徴:O2Oの仕組みをもって生まれたAurasmaは、親会社が検索と画像認識技術ではトップクラスの技術を持つ英国のAutonomy(オートノミー)と、それを買収したヒューレット・パッカードのクラウド技術が利用されている。紙媒体から動画などを表示する仕組みと、Webサイトへのコンバージョンを容易に実現する仕組みがある。最近では、単にWebへ誘導するだけではなく、対話型の操作ができる機能が追加された。

2)Knowlede works(ナレッジワークス)/mueAlive!(ミューアライブ)

knowlede
  • 公式サイト:http://alive.knowledge-works.co.jp/
  • 国:日本
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:なし
  • ARタイプ:画像認識型
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2011年11月
  • 特徴:Aurasmaの技術を使用して作成された画像認識型のARアプリケーション。Aurasmaで実現できる機能はほぼ兼ね備えている。

3)blippAR(ブリッパー)/blippAR(ブリッパー)

blipp
  • 公式サイト:http://blippar.com/
  • 国:イギリス
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:なし
  • ARタイプ:画像認識型
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2011年8月
  • 特徴:アメリカのQualcomm Vuforiaの技術を使用して作成された、画像認識型のARアプリケーション。1つひとつのコンテツがしっかり作り込まれており、インタラクティブな操作で、まさしく体験型のARを実現している。日本でアプリケーションをインストールすることはできるが、コンテンツを導入することはできない。

4)metaio(メタイオ)/junaio(ジュナイオ)

metaio
  • 公式サイト:http://www.junaio.com/
  • 国:ドイツ、アメリカ、
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:あり
  • ARタイプ:ARマーカー型、画像認識型、位置情報型
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2010年2月
  • 特徴:カリフォルニアに拠点を置くjunaioは、ARの技術では古くから取り組んでいるmetaioの優れたモバイル技術が使用されている。あらゆるタイプのARに対応しているといっても過言ではないであろう。仕組みとしては、画像認識後にjunaioが用意しているサーバへ問い合わせ、利用者側が用意したコンテンツサーバを参照するようになっている。

5)Layar(レイヤー)/Layar(レイヤー)

layar
  • 公式サイト:http://www.layar.com/
  • 国:オランダ
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:あり
  • ARタイプ:ARマーカー型、画像認識型、位置情報型
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2009年6月
  • 特徴:サービス提供開始時は、位置情報タイプのARであったが2011年には画像認識タイプにも対応した。Layarは国内外のAndroid端末にプレインストールされることもあるが、日本で使われたという話はあまり聞かない。Layarサーバへの認証が最初に必要である点など、仕組みがjunaioと似ているため比較されることが多いARプラットフォームだ。

6)Koozyt(クウジット)/GnG(ジーエヌジー)

koozyt
  • 公式サイト:http://www.koozyt.com/solutions/gng/
  • 国:日本
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:なし(※KARTというSDKは用意されている)
  • ARタイプ:ARマーカー型(Cyber Codeと呼ぶ)
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2010年5月
  • 特徴:「ゲット・アンド・ゴー」と呼ばれるこのプラットフォームは、Sonyの技術を応用して実現している。Cyber Code(サイバーコード)と呼ばれる独自デザインの認識コードが利用されている。日本国内の多くのキャンペーンで利用されている。

7)arara(アララ)/ARAPPLI(アラプリ)

arara
  • 公式サイト:http://arara.co.jp/
  • 国:日本
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:なし
  • ARタイプ:ARマーカー型(QRARと呼ばれるQRcodeとARマーカーの複合型)
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2010年12月
  • 特徴:「QRAR(キューアール・エーアール)」と呼ばれるコードを読み取って四角い枠を基準にしてARを実行するこのプラットフォームは、QRcodeを使用するという点では、非常に分かりやすい方式だと思う。QRcodeと四角の枠の2種類のマークが必要となるため、四角の枠にQRcodeを配置したり、場所を分けて配置することもあるようだ。日本国内の多くのキャンペーンで利用されている。

8)KDDI(ケーディディーアイ)/SATCH VIEWER(サッチ・ビューワー)

kddi
  • 公式サイト:http://satch.jp/sp/satchviewer.html
  • 国:日本
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:あり
  • ARタイプ:画像認識型
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画、3DCG
  • サービス開始時期:2012年4月
  • 特徴:フランスの有名なAR提供企業「Total Immersion(トータル・イマージョン)」のモバイル向けの技術を使用し、それをプラットフォーム化したものが、このSATRCH VIEWERだ。まだAndroid版しかリリースされていないようだが、KDDIという日本のキャリアが運営しているARでもあるので、期待したい。

9)Onvert(オンバート)

onvert
  • 公式サイト:http://onvert.com/
  • 国:イギリス
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:なし(※しかし、管理画面での登録可能)
  • ARタイプ:QRcodeと画像認識型の複合型
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画、動画
  • サービス開始時期:2012年8月
  • 特徴:QRcodeを読み込み、その後、対象画像にカメラをかざすと画像認識が行われるARだ。QRcodeで対象を特定し、画像にかざすため手間が一回必要だが確実に認識されるであろう点が優れている。

10)GOLDRUN(ゴールドラン)

goldrun
  • 公式サイト:http://www.goldrun.com/
  • 国:アメリカ
  • 対応:iOS、Android OS
  • SDK提供:なし(※依頼することでGOLDRUNにて開発可能)
  • ARタイプ:カメラモードへの画像表示、イベントにより位置情報を利用
  • 取扱可能コンテンツタイプ:静止画
  • サービス開始時期:2010年10月
  • 特徴:単純にカメラモードの状態で、起動したアプリの画面上から楽しみたいデジタルコンテンツを選択すると、その画像がカメラモードの状態で表示され、一緒に写真を撮影することができる。位置情報を利用することはできるようだが、ARマーカーや画像認識のような技術は使用されていない。単純なだけに、楽しめるARアプリケーションだ。

今回は前後編にわたって、ARの技術をご説明した。次回は、ARの国内外の事例とその効果について具体的に説明したいと思う。